輸血による重金属暴露のリスク
早期新生児は、全静脈栄養(TPN)や赤血球(RBC)輸血など、生命維持のための医療介入を必要とすることがあります。
しかし、これらの医療介入により、鉛やカドミウム、水銀、ヒ素などの有害金属にばく露される可能性があります。
TPNとRBC輸血による曝露
リヤドの三次医療NICUで33人の早産新生児に投与された 230のTPN検体 と 17のRBC検体 のすべてが、有害金属に汚染されていることが明らかになりました。
この研究は、NICUでの通常の医療介入が早産児に有害金属曝露を引き起こす可能性を示しています。有害金属は微量でも臓器障害や神経発達障害に関与するため、長期的な健康被害の懸念があり、医療製剤や輸血製品の規制・監視強化が必要であることが強調されています。
輸血製剤の重金属汚染
さらに、以下の研究では血液製剤自体が鉛、カドミウム、水銀で汚染されていることが報告されています。
Donor blood remains a source of heavy metal exposure
これらの研究は、献血者血液由来の汚染が製剤に反映されることを示しています。
ノルウェー献血者の環境汚染物質
ノルウェーの献血者を対象とした研究では、重金属や有機フッ素化合物PFAS)がかなりの割合で安全基準を超えていました。
Environmental pollutants in blood donors: The multicentre Norwegian donor study
- 鉛(Pb):約 18%が早産児輸血の安全基準(0.09 μmol/L ≈ 1.84 μg/dL)超
- 水銀(Hg):約 11%が基準(23.7 nmol/L)超
- カドミウム(Cd):4%が基準(16 nmol/L)超
- PFOA:68%が安全基準(0.91 ng/mL)超
- PFOS:100%が基準超
献血者の年齢が高いほど、重金属やPFAS濃度も高くなる傾向が確認されました。これらのデータは、特に新生児への輸血で大きなリスクをもたらす可能性があることを示しています。
日本での状況
日本では輸血用血液製剤は日本赤十字社が全国的に管理していますが、現時点で 重金属やPFAS汚染の報告は確認されていません。ただし、調査が行われていないだけで、汚染の可能性が否定できないことには注意が必要です。
早期産児や新生児は、体重が小さく、臓器の解毒能力(肝臓・腎臓)が未熟ですので、輸血の総量に対して体重当たりの暴露量が大きくなります。
また、神経も発達段階であり、鉛や水銀、カドミウムなどの影響が強く出やすいため、最もリスクが高い集団として国際的に注目されています。
成人では、体重あたりの曝露量は小さく、肝腎機能も成熟しており急性影響は出にくいです。しかし、複数回・大量輸血を行う場合には、慢性的な影響を考慮する必要があります。
輸血による肝炎ウイルス感染が問題になったことがありますが、ウイルスは存在しないということが判明していますので、輸血による肝炎は、実際には血液製剤に含まれる重金属が原因かもしれません。
以下の論文では、鉛や水銀、カドミウムの混合曝露と、肝障害(非アルコール性脂肪性肝疾患)との関連が指摘されています。
Cadmium, lead, and mercury mixtures interact with non-alcoholic fatty liver diseases
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD):
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)とは、脂肪肝の原因のひとつであり、アルコール依存症以外の原因によって肝臓に脂肪が蓄積している (脂肪変性) 場合に生じる。NAFLD は先進国で最も頻度の高い肝障害である。
非アルコール性脂肪性肝疾患は、非アルコール性脂肪肝(NAFL)と非アルコール性脂肪性肝炎 (non-alcoholic steatohepatitis, NASH)の二種類に分けられる。NASH は NAFLD の最も極端な形態であり、肝炎を含み、原因不明の肝硬変の重要な原因だとみなされ、肝細胞癌に進行することもある。
非アルコール性脂肪肝(NAFL)は NASH よりは危険性が低く、普通は NASH や肝硬変には進行しない。NAFLDがNASHへ進行した場合は、最終的には肝硬変、肝癌、肝不全、心血管疾患などの合併症を引き起こす可能性がある。
しかし、「血液スクリーニングによって肝炎ウイルスの感染が激減したから重金属の汚染は関係ない」という反論があるかもしれません。
確かにそうかもしれませんが、当時の血液製剤がどの程度重金属に汚染されていたのか分かりませんので、可能性としては否定できません。
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