【マグロ規制の闇】「海の資源を守る」という大義名分の裏で、誰が笑い、誰が泣いているのか?
「日本の伝統ある大間マグロの漁師が、漁獲枠の未報告で逮捕された――」
https://gendai.media/articles/-/142459?imp=0
こんなニュースを見て、「ルールを破る悪質な漁師がいたものだ」と片付けてしまっていませんか? ですが、この問題の裏側を深く掘り下げていくと、そこには「環境保護」という美しい言葉の影に隠された、大企業や輸入商社の莫大な利権、そして国際政治の恐ろしい罠が見えてきます。
なぜ真面目に汗を流す地元の零細漁師たちが追い詰められ、一方でメガ商事や水産大企業が涼しい顔で大儲けしているのでしょうか。
1. 目の前のマグロを「海に捨てる」漁師たちの絶望
いま、日本の沿岸漁師たちは、国や国際機関が定めた「漁獲枠制限」によって、かつてない生活苦にあえいでいます。
自然相手の漁業では、網を上げたら想定以上にマグロが入ってしまうことがあります。しかし、国から割り当てられた極小の「枠」を使い切っていれば、そのマグロを水揚げすることは許されません。
結果として「高級マグロをそのまま海へ捨てる」という不条理なことが起きています。
家族を養い、明日の船の燃料代を払わなければならない漁師たちが、目の前のお金を海に捨てさせられる。背に腹は代えられず、生きるために「未報告」のまま闇ルートで販売すれば、待っているのは警察による逮捕です。ルールが現場の人間を「犯罪者」へと仕立て上げているのが実態なのです。
2. 弱者を切り捨て、大企業を守った「小泉改革」の罪
そもそも、この不公平極まる規制の枠組み(中西部太平洋まぐろ類委員会:WCPFC)を日本に引き込んだのは誰なのか。歴史を遡ると、2005年にこの条約を批准した 小泉純一郎内閣 へと行き着きます。
当時、国際社会からの「日本はマグロを獲りすぎだ」という激しい外圧に対し、政府は波風を立てないことを優先して規制を受け入れました。
しかし、国内でその「漁獲枠」を分配する際、水産庁と政治がとった行動は冷酷でした。
- 大手水産企業(マルハニチロ、ニッスイ、極洋など):一度に何百トンも一網打尽にする大型巻き網船団には、過去の実績を理由にゆとりのある大きな枠を配分。
- 地元の零細漁師(一本釣り・延縄など):環境に優しい方法で丁寧に釣っている地域の漁師たちには、雀の涙ほどの枠しか与えない。
国際社会に良い顔をし、天下り先でもある大手水産企業の権益を守るために、政治的な発言権を持たない地元の漁師たちが完全に生け贄に捧げられたのです。
3. 「マグロを守る」というスローガンの大嘘
国際機関や海外の漁師たちは「絶滅危惧のマグロを守れ」と声高に叫びます。しかし、彼らの本音は環境保護などではありません。
海外の漁師たちも確かに枠で縛られていますが、彼らがマグロを獲る最大の目的は、「世界一高く買ってくれる日本市場へ輸出し、外貨を稼ぐこと」です。自分たちは食べもしない魚を、ただの金儲けのために獲っている。これのどこが「マグロを守る」スローガンと一致するのでしょうか。
さらに、ここに日本の巨大輸入商社が絡むことで、利権はさらに歪んでいきます。
商社が仕掛けた「規制枠」のすり抜け手口
日本のマグロ流通を牛耳る三菱商事(および子会社の東洋冷蔵)などのメガ商社は、海外で「マグロの蓄養(養殖)」を大規模に行っています。 これは、規制の対象となる小さな野生の幼魚を捕まえ、いけすの中で何倍にも大きく育ててから日本へ持ち込む手法です。つまり、幼魚1kg分の漁獲枠を消化しながら、いけすで成魚10kg分の価値に育てて売る――「同じ枠でも、蓄養設備を持つ大企業と沿岸の零細漁師では、得られる収益が文字通り桁違いになる」 という構造的な格差を、商社だけが享受しているのです。
さらに驚くべきことに、東洋冷蔵は人権侵害や違法操業が疑われていた中国の水産会社・大連遠洋漁業と長年にわたり取引をしており、同社の収入の7〜8割を占める「唯一の日本の取引先」だったことが、調査報道によって明らかになっています。
違法漁業でインドネシア人船員ら10人が死亡 獲ったマグロは日本向け 水産庁と輸入業者は十分な対策取らず
4. 複雑な書類手続きという「大企業優遇の防壁」
近年、国は「違法マグロを入れないため」として、輸入時の書類手続き(トレーサビリティの証明)を極めて複雑にしました。一見、素晴らしい規制に見えますが、これも大企業の利権を守る防壁として機能しています。
このような煩雑な国際手続きを完璧にこなせるのは、莫大な資金力と現地ネットワークを持つ大手商社だけです。中小の輸入業者はこの手続きの重さに耐えかねて次々と脱落し、結果として大手商社による「マグロ輸入の独占状態」がさらに強化されることになりました。
そして、国内の漁獲枠が厳しく制限されて国産マグロの流通量が減れば、市場の原理でマグロの値段は高く保たれます。 「国内のライバル(地元の漁師)を規制で動けなくし、海外からの輸入ルートを独占して、高値で安定して売り抜ける」――これこそが、大企業と商社が構築した完璧な儲けのシステムです。
5. 【考察】「規制の複雑化」が生み出した構造的な勝者
ここで、一つ見落とせない視点があります。
かつて日本を襲った「海外からの激しいマグロ乱獲バッシング」。あの外圧が正当な環境保護の声だったとしても、結果として誰が莫大な利益を得たか を冷静に見れば、現在のパワーバランスに深刻な歪みが生じていることは否定できません。
規制が複雑になる過程で、以下の構造が生まれました。
① 「大義名分」が国際ルールを正当化する
「マグロが絶滅する」という国際的な危機感が高まる中、WCPFCなどの国際機関が設立され、漁獲枠やトレーサビリティ(流通経路の証明)の義務化が進みました。資源保護の観点からは理解できる流れです。しかし問題は、そのルールの設計と運用にあります。
② 複雑なルールが「新規参入をブロック」する防壁になった
緻密で複雑な国際手続きをこなせるのは、法務部門と莫大な資金を持つ大手企業だけです。地元の漁師や中小の業者は手続きの重さに耐えかねて脱落し、結果として参入障壁として機能しました。
③ 身動きの取れなくなった市場に「大企業が君臨」する
国内漁師が規制で縛られた後、複雑な国際手続きをクリアする資金力と、海外の蓄養事業を持つ大手商社・水産企業だけが安定した流通を維持できる状態が生まれました。
誰かが意図的に仕組んだかどうかは、現時点では確認できません。しかし少なくとも 「結果として、規制は弱者を排除し強者を残した」 という事実は、数字とパワーバランスが示しています。環境を守るという正当な目的のもとで設計されたルールが、なぜこれほど一方的な恩恵をもたらすのか。
当時の小泉内閣が進めた「構造改革」の結果を見ると、理由は明らかではないでしょうか。
結論
環境や資源を守ることは大切です。しかし、その制限によって地元の漁師が飯を食えなくなり、獲れたマグロを売れば犯罪者にされてしまう現在の状況は、明らかに何かが狂っています。
環境を守るという名目で庶民を虐げ、大企業を優遇する日本の政府が、一部の特権階級の利権を守るために動いていることは誰の目にも明らかです。
この世から不公平がなくなり、万人にとって益となる政治が行われるようになることを願います。
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